子どもの「老い先」を長く見て育てなさい!
この本では、
私の教育環境設定コンサルタントとしての経験から、
一人っ子の育て方のキーポイントを述べさせていただきました。
ここにこの本の内容を要約すれば、
「お子さんが個人としての特性を自覚して成長し、
配偶者を得るためのコミュニケーション能力を身につけるように育てること」
ということになると思います。
そしてそれには、
子どもを家庭内で独立した存在として育てる姿勢が肝要です。
お父さんお母さんは、母だけではなく姉として、
父だけではなく兄としての「役割」を
忘れずにこなしていただきたいということです。
俗に「可愛い子には旅をさせよ」といいますが、
私に言わせれば、
「かわいい子には自立習慣を心がけよ」
ということになります。
愛情とは別に、親が「距離感」を演出しましょう。
ゆくゆくは自分たちを離れて配偶者を得、
世代交代をしていく別個の存在として
我が子を見る視点が大切です。
あなたにはあなたの生活や人生があります。
子育てはそのなかで、
一般的にはわずか20年間のことに過ぎません。
反抗期が来たら、
あとは子どもに勝手に育ってもらうしかないのですから、
実質的な子育て期間はほんとにわずかです。
子育てが終わるとき、
あなたはあなたが打ち込めることを用意していなければなりません。
というよりも、あなたがあなたのやりたいことを
積極的に取り組む姿を見せることこそが、
子育てがうまくいく秘訣と言えます。
また、働くお母さんの増加で、
これからはよりいっそう、
おじいちゃまおばあちゃまの「お仕事」が多くなります。
そして、教育コンサルタントの経験上、
子どもの能力が異様に高いケースでは、
優れた祖父母に育てられたケースが
意外と多いことが挙げられます。
祖父母は、一度子育ての経験があるので、
人生を長い目で見た知恵を授けることができるのでしょう。
一人っ子は、もちろん一人しかいません。
一人の子が四人の祖父母と二人の両親の将来の夢を担うのです。
だからこそ、良い親になるように育てること、
そしてそのための賢さを授けることに
力を注いでほしいと願います。
子育てが「連続」するとは、
子どもが世代交代することにほかならないのです。
私も、我が子に対して目を曇らすことなく
やっていくつもりです。
それにしても、子どもがいて本当によかった。
もしも子どもがいなければ、
私の人生は実に寂しくつまらないものだったでしょう。
もりもり食べて育つ子どもの姿がなければ、
こんなにも働くことはなかった。
子どもたちの存在に感謝しつつ、
彼らが世代交代したときに、
ひそかに我々に感謝することを夢見つつ、
少子化社会に生まれた命が未来に
連続することを強く願うものです。
ご一読に感謝します。
またどこかでお会いしましょう。
08年 初冬 松永暢史