2009.04.30 |
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「がんばらないで」目標に到達する
究極の勉強法
苫米地英人
本書は世にありがちな、勉強のやり方を手取り足取り解説した本ではありません。
もっと根本的なところから、どうすれば勉強の効率がアップするのか、ひいてはどうすれば賢い脳をつくることができるのかといった観点から書かれています。勉強の方法論も各所に散りばめてはありますが、それは賢い脳をつくるために必要なトレーニングのひとつと捉えてください。
ところで勉強というと、受験生が徹夜して、歯を食いしばって頑張るイメージがあるかもしれません。お母さんが、受験生の邪魔にならないように、そっと戸を開けて、夜食を置いていく。そんなものには目もくれずに、なぜか深夜放送のラジオを聴きながら、必死に参考書を読んだり、問題集を解いたりしている。そんな頑張る姿が勉強だと思っている人も少なくないのではないでしょうか。
しかし、先に種明かしをしてしまいますと、勉強法の最大のコツは「頑張らないこと」なのです。徹夜で歯を食いしばってやる受験勉強は最悪なのです。
理由は簡単です。頑張るということは本当はやりたくないことを無理やりやっているわけですから、好きでやっていることと比べて効率が良いはずがありません。
また、嫌なことを無理やりやろうとすると、脳が拒否反応を起こし、そこから抜け出そうとして、IQが思いっきり下がります。IQが下がった状態で勉強しても身につくはずがありません。
頑張って勉強するというのは身にならない、時間を無駄にする行為だとさえ言えます。どうせ勉強するなら、しっかり身につく方法でやったほうがいいはずです。
しっかり身につく勉強法とは、もちろん「頑張らない」勉強法です。
「頑張らないで勉強ができるわけがないじゃないか」と思う人は、すでにIQがかなり下がってしまっている可能性があります。
本当の意味で勉強をしている人で、頑張っている人はいないのです。
例えば、大学の数学の先生がまだ誰も解けていない方程式を解こうとして、毎日、計算に明け暮れていたとします。この先生ははたして頑張っているのでしょうか。
もし歯を食いしばって頑張っているのだとしたら、この方程式は永久に解けないでしょう。この数学の先生は、まず間違いなく、この方程式を解くことが楽しくて仕方がないはずです。
歴史好きの人がある時代の貴重な古文書を見つけて解読していたとします。読みづらい文字の解読に毎日取り組んでいるこの人は、はたして頑張っているのでしょうか。
これも間違いなく、この文字の解読が楽しくて仕方がないはずです。新たな歴史的発見がその古文書に隠されているかもしれないと、ワクワクしながら解読しているに違いありません。
好きなこと、楽しいことをやると、脳は活性化されてIQも上がります。頑張らないからこそIQが上がるわけです。
本書がみなさんにお伝えする勉強法はまさにこれです。「頑張らない」勉強法、「頑張らなくても勉強が楽しいので、他のものはさておいて勉強しないと気が済まなくなる」勉強法です。
「なんだ、モチベーションアップの話か」と思われた方は、半分正解で半分不正解です。たしかに勉強に対するモチベーションが上がるという意味では正解ですが、いわゆる自己啓発本によくあるようなモチベーションアップ法とはまったく異なる手法であり、行き着く先もまったく異なるという点で不正解です。
本書は、脳を最大限に活性化させ、最大限の勉強効果をあげる、脳に良い勉強法を紹介しています。本書を手にしたみなさんは、頑張って勉強するという苦痛からは解放され、知らず知らずのうちに楽しく、気持ちよく勉強している自分に気付くことでしょう。
そんなみなさんには、もう語呂合わせ暗記術のような意味のない勉強法や決して実行されない勉強計画、自己管理やモチベーションの維持などという小手先の勉強法とは無縁の存在となることでしょう。
やがてあなた自身が、勉強の先にある目標の達成に「頑張らずに」向かっていることに気付くでしょう。あなたは人生の目標に向かって、「無意識に」走り出すことになるでしょう。
本書がみなさんの人生を変える1冊となると信じています。