ひとりっ子の子育て・勉強は、こうやればうまくいく
みなさん、こんにちは。
教育環境設定コンサルタントの
松永暢史です。
私は東京でV-net(ブイネット)という教育相談事務所を主宰し、
毎日さまざまな子どもたちと接しています。
コンサルタントをする前は、
40歳までプロの家庭教師としてあちこちのおたくを訪問し、
マンツーマンで子どもの勉強を見てきました。
できない子ができる子に変身する瞬間に立ち会うことは、
とてもうれしいことですし、面白いことでもあります。
それが何よりも楽しくて、
私は学生時代からずっと家庭教師を続けていました。
しかし、20年ほど前から、
どんなに教えてもダメな子どもたちが現れ始めました。
手取り足取り教えても、
まったく反応がないのです。
「新種が現れた」と思いました。
「新種」の特徴をあげてみましょう。
三つ、あります。
まず、表情がない。
疲れ切ったサラリーマンのように、
表情に全く生気が感じられません。
二つめ、挨拶ができない。
「こんにちは」とこちらが挨拶しても、
あちらを向いたまま、かすかにあごを振るだけです。
三つめ、何を聞かれても
「まあ」とか「別に」とぼそりとつぶやくのみ。
どの子もまだ10代前半なのに、子どもらしさがまったくないのです。
「こういう子どもたちが増えてきたのは、なぜだろう?」
しばらく考えて、わかりました。
彼らは一人っ子だったのです。
あるいは一人っ子でなければ、兄弟の少ない長男、長女です。
今の子どもたちは昔のように汗をかいて集団で遊ぶかわりに、
個人個人でテレビゲームに時間を費やしたり、
夜遅くまで進学塾に通っています。
子どもならではの野性的なエネルギーを発散させる場が、
非常に少なくなっているのです。
そのため、コミュニケーション能力に欠けていたり、
与えられたものをただ受け取るだけの
好奇心の乏しい子どもができあがってしまうのです。
「松永先生、この子は小さいころは素直だったのに、
最近は勉強させようとしても私の言うことを
まったく聞いてくれません。
もうどうしていいかわかりません」
そう言って、私の目の前で泣き出すお母さんが後を絶ちません。
お母さんの隣では、
中学1、2年の無表情のモンスターがつまらなさそうな顔であっちを向いています。
「お母さん、
進学塾に通わせれば子どもが自動的に賢くなると思ったら
大間違いです。
小学生時代からむりやり塾に通わせて勉強嫌いにする前に、
もっと基礎的な生活習慣や学習能力を養うべきでしたね。
この子にとって必要な環境は何か、
もう一度、一緒に考えてみましょう」
花の種を地面にまくと、芽が出ます。
すぐに勢いよく伸びてくるものもあれば、
なかなか伸びないものもある。
それぞれがどんな花を咲かせるかは、
はた目にはまったくわかりません。
子どもだって、同じです。
ある程度時間をかけて見守らないと、
子ども自身が備えている力を発揮することができません。
今のお母さんは、進学塾に通わせたうえに
「早く勉強しなさい」
「宿題はもうやったの?」
「塾に行く時間よ」
などと子どもを追い立てがちです。
しかし、焦りは禁物です。
子どもの学力は、実は14歳になるまでは未知なのです。
12、13歳までずっとビリだった子が、
14歳から勉強の面白さに目覚め(あるいは勉強のコツを体得し)、
信じられないほど成績が伸びていくことは決して珍しくありません。
焦らなくても大丈夫。
「隣の子が塾に通っているから、
うちも」ではなく、もっとゆったり、
子どものペースに合わせて愛情を注いであげてください。
少子化の時代になった今、
一人っ子がどんどん増え、
「子どもをどう育てたらいいのかわからない」
「子どもとどう接すればいいのかわからない」
と悩むお母さん、お父さんが増えています。
この本は、一人っ子の育て方を模索中の、
あるいは初めての子どもの育児に悩むお母さんのために書きました。
一人っ子が確実に幸せになるための最終目標は、
ステキな異性と結婚して子どもをつくり、
楽しい家庭をつくること。
親のあなたがいつの日かこの世を去るとき、
「今までありがとう、お母さん。僕たち(私たち)、
家族で力を合わせて幸せになるから安心してね」
と手を握ってくれること。
これが、子どもにとっても親のあなたにとっても、
最高に幸せなことではないかと思います。
では、わが子を「ステキな異性と結婚できる人間」
に育てるにはどうすればいいでしょうか。
答えは、本書をお読みになればわかるでしょう。
あなたとあなたのお子さんが、
本書をヒントにして、
最高に幸福な人生を歩まれますことを心より期待しています。
...................................................................................................................................著者